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透析センター

血液透析のあれこれ

他のトラブルにはどんなのがあるのですか?そしてどんな解決策があるのですか?

静脈瘤

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上の写真のようなシャントを、普段よく見かけませんか?

透析期間が長い方によく見られると思うのですが、こうした穿刺部分が瘤化してくる原因として、ひとつは似たような場所に穿刺していた、もうひとつは、過剰血流があり、静脈弁のあたりで乱流が激しくなり、柔らかい静脈の壁が膨れてきたという理由があげられます。

下の写真は、それと似たような現象で、狭窄部位があり、過剰血流がそこに勢いよく通過することで、ジェット流が発生し、柔らかい静脈の壁が膨れ上がって瘤化したものなのです。

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この写真の症例は、瘤を指でつぶすことができます。それだけ壁が柔らかいので、このまま放置すると瘤はどんどん大きくなり、破裂する危険があります。こうしたものを切迫破裂のリスクと言います。

逆に、指でつぶせない硬い壁を有している瘤もあります。これが何かの衝撃で瘤に力が加わると、これもあっという間に破裂する危険があります。

要するに、短期間で大きくなってきたもの、狭窄部位が存在しているもの、内圧が高く触ると壁が硬いもの、こうした特徴を持つ瘤化した静脈血管は、外科的に修復したほうが安全です。

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左図は、先ほどの写真の瘤を剥離したものです。このままだと皮神経を巻き込み、癒着して皮膚の感覚異常とか神経症状が出る場合もあります。

右図は瘤を切除して、正常な血管同士を人工血管でバイパスしたところです。これで狭窄も解除できました。

過剰血流(スティール=盗血現象)

シャントの音が、シャーシャーとよく聞こえることは、本当に素晴らしいことなのです。この音がなければ、血液透析を維持することはできないのですから、生きていくことができません。シャントは命と同じく大事なものなのです。

ただシャントというのは、動脈から一部の血流を頂いているのであって、あまり動脈からもらいすぎると、本来動脈が供給するはずの手指先の血流が足りなくなってしまう、供給不足になってしまうという事態に陥る危険があるのです。

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尺骨動脈からの血液が、シャント血流のほうへ流れていく。指の血管は細いため、血管抵抗が高い。それゆえ血管抵抗の低いシャント側へ血流が流れていき、指への血流が不足してしまう。こうして指が壊死へと向かっていくのである。

だから、脈が触れているとか、尺骨動脈に血流が流れているのを確認したって、この合併症は見つからないのです。

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壊死した部分は、もとには戻せません。切断するしかないです。こうならないためにも日頃のシャントの観察が大切なのです。
そして、早く治療を開始する決断が必要なのです。

発症しやすい患者

SLEやBurger病、糖尿病など、そもそも末梢循環不全が起こりやすい基礎背景がる方、反復するシャント手術により動脈血流量が減少している方、肘部などの中枢側で内シャント作成した方

保存治療と手術の適応

手指の保温、各種末梢循環改善薬などを使用しても効果のない時は、外科手術に切り替える。

まずはスティールされる血流を減少させる手術(バンディング)、それでも不十分な場合は、シャント閉鎖して、再造設または別なブラッドアクセスを考慮したほうがいい。

過剰血流(静脈高血圧症)

次の症例も過剰血流によるものですが、今度はシャント側の腕が異常に腫れあがってきたという症例です。

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左の写真では、右腕(=シャント肢)が健側である左腕と比較して、非常に太くなっています。

右の写真は、こうした原因の大部分は、鎖骨に流れる血管の一部に狭窄があり、かつそこに過剰血流が流れ込むことで、シャント肢全体の静脈がうっ滞を起こしているのです。

簡単に言えば、大きな道路が車線を狭められて、交通渋滞になってしまったという状態と同じなのです。

このまま放置していては、浮腫による皮膚の灌流障害で変色したり、疼痛を訴えたり、または大変重たくなるのでその重量感で日常生活に支障をきたすこともあり得ます。

では治療はどうするのか?

答えは簡単です。原因となる鎖骨下静脈等の狭窄をカテーテル治療等で解除できれば解決するのですが、やはり時間とともに狭窄は繰り返します。根本的な解決のようで、経験的にこれだけでは解決しないようです。

基本的に過剰血流に対して合併症が出現した時は、すみやかにシャントを閉鎖することです。

そして対側に新たなシャント造設を行うのです。

この決断を早くしないと、壊死した部分はどんどん悪化していくし、腕の腫れあがりが首にくる方もいます。

シャントを閉鎖すれば、たちまち腫れた腕は元通りになっていきますし、壊死の進行も食い止められます。

ここは、せっかくのシャントですが、閉鎖することに躊躇してはいけません。

シャントに関する困りごと

シャント外来

当院は、専門外来として「シャント外来」を設置しております。

シャントに関して様々な治療を行っておりますので、是非ご確認ください。

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