透析センター
血液透析のあれこれ
シャントが問題を起こした!どうしたらいいの?
あわてないでください!まずは当院のシャント外来で診察します。
シャント血流が、まだ辛うじて存在している場合。多くは血管の狭窄(=狭くなっている)が原因です。
狭窄に対しては、バルーン(=風船)で狭いところ広げる治療、すなわち血管形成術(PTA)という手技が主流です。
このように造影剤というものを使用して、血管の内腔を写しだしてカテーテル治療を行うのですが、造影剤には、先ほど述べましたように身体にアレルギーや血圧低下といった副作用もあり、十分に安全ではありません。
当院では、最近の最先端の方法である、超音波エコー下によるシャントPTAを選択することもあります。
なるべく造影剤はさけて、可能な症例は血管エコーを利用してPTAを行っています。
上の写真は、当院でのエコー下によるPTAの風景です。
血管の内腔をエコーで確かめて、カテーテルを挿入します。この方法の一番いいところは、バルーンで膨らむところがよく分かるということ、しかも、PTA後の血流の改善を、数値で客観的に評価できる点にあります。
今までの血管造影によるPTAは、血流の流れが良くなったとか、狭いところが膨らんだとか、目視による直観的な評価しかありませんでした。見様によってはよく見える、といった感じですが、このエコー下のPTAでは血管内腔の広がりが計測でき、血流測定で治療前後の比較もできるので、誰が見ても公平な評価ができるのです。
ただし、まだ最先端ですので、いくつか工夫が必要な課題もまだあります。
当院では、いろいろと工夫を重ね、安全な、客観的な評価の可能なPTAを目指して、日々努力をしております。
下の写真は、途絶された2本の静脈を吻合する血管形成術を行いながら、異なる血管2か所のPTAをも同時に施行していた外科手術風景です。造影剤は一切使用していないことで、患者様の身体への負担を極力最小限にするよう努めました。
PTAでは改善しなかった場合は、外科的処置が適応となります。つまり新たに手術となります。
そして、もしシャントの再生が難しいと判断された場合は、シャント再建となります。
単純にシャント再建といっても、できるだけ自分の血管を、将来をも考慮して温存することがなにより大事なのです。
できれば、少しずつ中枢側(手首から肩へ向かって)へずらして再建することが望ましいです。
例えば、手首(橈骨動脈―橈側皮静脈)でのシャントが一般的ですが、ここが閉塞した場合、すぐに肘の近くで再建を判断するのではなくて、前腕の中央あたりで再建できないか考えます。
肘近傍ですぐに再建するのは、ここが太い血管と太い静脈が確保しやすく、動静脈間の距離も近いためです。
しかし、吻合すれば、それより末梢側(指先側)の血管は荒廃(=ダメになる)してしまうことが多いので、可能な限り以前の吻合部の近くで再建するように、当院では心がけるようにしています。
それと大事なのは、シャント再建しても、後に使用できるシャントにならなければいけません。
シャントとして機能するかどうか、血流がいいことはいいが、過剰になると前述の合併症が発生します。
シャント再建って、血管を吻合すればいいってもんじゃなく、その後々のことを考えて造設しなければいけないので、実は非常に難しいのです。
- シャントってこれからどうなるの?
- シャント作成したけど、将来どれくらいもつの?
- シャント作成したけど、どうやって管理していくの?
- シャントが問題起こした!どうしたらいいの?
- あわてないでください! まずはシャントを診察します
- PTAで改善しなかった場合は、外科的処置が適応となります。
- では、自分の血管でシャント造設が難しかったらどうしたらいいのでしょうか?
- 最初に人工血管による内シャント造設について話します。
- 他のトラブルにはどんなのがあるのですか?そしてどんな解決策があるのですか?
- 静脈瘤
- 過剰血流(スティール=盗血現象)
- 過剰血流(静脈高血圧症)
- どうしてもシャントができないときは、どうしたらいいの?
- 動脈の表在化
- 長期留置カテーテル埋込