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整形外科

整形外科 東山礼治医師の考案した手術方法が、新しい関節鏡手技を掲載する英語の専門雑誌に掲載されました

2019年2月号の英語論文Arthroscopy Techniques(関節鏡手技)に当院整形外科医師 東山礼治が考案した手術方法(足関節鏡視下外側靭帯(ATFL前距腓靭帯・CFL踵腓靭帯)再建術:安全な腓骨骨孔作成法)が掲載されました。どなたも無料で閲覧可能です。解説付きビデオもご覧になれます。足首の捻挫の後遺症に悩まれている方はこの手術で治る可能性があります。当院整形外科までどうぞお越しください。

①手術手技はこちらのサイトへ。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2212628718301816

②手術ビデオはこちらへ。なお個人情報を除いた手術の様子が映っておりますので、あらかじめご了承ください。

https://www.arthroscopytechniques.org/cms/10.1016/j.eats.2018.10.016/attachment/4c3c3ee3-e2cf-45dc-bd35-06c98e80f867/mmc1.mp4

以下、東山医師から解説です。

ATFLとCFLの線維は、関節内から観察すると交通・連続性があります。私たちの手術方法ではATFLとCFLの腓骨付着部(腓骨骨孔)を共有させているため、解剖学的にも合理的で、かつ腓骨に1つの骨孔(トンネル)を作成すれば良いので安全です。腓骨は比較的細い骨ですので、骨孔作成には注意が必要です。手術中にレントゲン透視で確認しながら、細いガイドワイヤーを先に挿入して、安全な位置と角度であることを確認してから径5-6mm程度のドリルを慎重に挿入して作成しております。この安全な腓骨骨孔作成の工夫が世界初の報告です。

大変嬉しいことに、ベルギーの Michels先生が2019年6月発表の論文でこの術式を引用してくださいました(引用文献8番)。私たちは腓骨骨孔の傾きを長軸方向から10度から30度することを推奨しておりましたが、Dr. Michellsがその安全性を証明して下さいました。

https://link.springer.com/article/10.1007/s00167-019-05583-3

強度について解説します。再建術における靭帯の強度には初期固定強度と再建靱帯(グラフト)の強度の2つを考える必要があります。私たちの再建方法では、腓骨骨孔の奥に引き抜き強度が40-50kg重もあるアンカースーチャーを設置して再建靭帯を固定しているので、十分な初期固定強度を提供しております。骨質が強い場合は腓骨骨孔にネジも挿入して初期固定強度を上げていますが、無理にネジを入れることはしておりませんのでご安心ください。

術後2-3ヶ月もすると骨孔の中で再建靭帯がしっかり固着するので、この時期を過ぎれば術後の足首の靭帯強度は再建靭帯そのものの強度になることが期待されます。ATFL再建術だけであれば、約80kg重以上の自家薄筋腱を2つ折りまたは3つ折りで用いることが多いです。再建靱帯はリモデリング(再構築)の過程で少し弱ってから回復していくことが言われておりますが、正常な前距腓靭帯(ATFL)の約15kg重の強度よりもかなり強い組織ですので多少弱っても大丈夫です。ちなみに踵腓靭帯(CFL)の強度は約35kg重と言われておりますので、CFLと比較しても自家薄筋腱の方が強度は上です。

国内外でよく行われている、ブロストルム法(Brostrőm法)に代表される靭帯修復術(縫合術)では、「切れて時間の経過した遺残靭帯」を縫合しているため、いくら強いアンカースーチャー糸を用いて縫合しても、術後の靭帯の強度は、「切れて時間の経過した遺残靭帯」に依存しています。その強度は正常なATFLの15kg重よりも劣ります。例えて言うと、「地震で倒壊した建物の柱を直すのに、弱い柱で直している」ということになります。正常靭帯でもこれほど多くの捻挫および再捻挫が起きてしまっている事実を考えると、修復術(縫合術)では「捻挫しにくい足首」あるいは「捻挫しても切れにくい靭帯」になることは残念ながらあまり期待できません。このように術後の靭帯強度という観点から見ると、腱による再建術がとても有利です。

光栄なことに、2021年10月にスウェーデンのヨーテボリ大学(Szaroら)が発表した論文にも引用されました(引用文献10番)。

https://jeo-esska.springeropen.com/articles/10.1186/s40634-021-00406-2

どなたも閲覧できる論文ですので、是非ごらんください。

担当医師紹介

東山礼治[写真]
東山 礼治
ひがしやま れいじ
整形外科部長
資格・提携
  • 医学博士
  • 日本整形外科学会専門医
  • 日本スポーツ協会認定スポーツドクター
  • 日本整形外科学会認定スポーツ医
  • 英文雑誌「American Journal of Sports Medicine」のReviewer(査読者) 2015~
  • U17男子サッカー日本代表チームドクター 2006
  • 女子サッカー 清水第八プレアデス チームドクター 2009-2010
  • Fリーグ ペスカドーラ町田チームドクター 2011~2019
  • カルペソール湘南スポーツクラブ 2019~
  • 乃羽バレエスクール 2019~
  • プロレス団体VAMOSTAR(バモスター) 2020~
所属学会
  • 日本整形外科学会(JOA)
  • 日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)
  • 日本足の外科学会(JSSF)
  • 日本臨床スポーツ医学会(JSCSM)
  • 日本整形外科スポーツ医学会(JOSSM)
医師コメント

2001年 筑波大学卒、2009年 千葉大学大学院博士課程修了、2011年~ 北里大学整形外科助教
世界初の足首の鏡視下靭帯再建術を複数報告しております。最新で安全な手術で皆様の足首を治療させてください。
膝関節鏡も得意です。前十字靭帯、前外側靭帯(ALL)の再建術で不安なく復帰へ導きます。半月板はなるべく修復して温存し、軟骨を守ります。
北里大学病院骨バンク・同種腱を用いた靭帯手術の経験も豊富です。