薬物療法

多くの場合、薬物療法が効果的です。治療の第一選択となります。薬物治療ではテグレトール（カルバマゼピン）を使用することが多いです。痛みに応じて薬の量を調整します。

薬物治療でも効果が不十分な場合、段々と症状が強くなってしまった場合には手術や放射線治療を検討します。

手術

手術には微小血管減圧術というものがあります。三叉神経痛の原因として、血管が三叉神経を圧迫することで痛みが生じていることが多く、この圧迫を手術で解除することで痛みの原因を取り除くという方法です。治療効果が高く、第一に勧められる治療です。

放射線治療

しかし、手術が難しい場合（高齢の方、併存症などで麻酔の危険性が高い方など）や、手術を希望されない方には放射線治療も選択肢になります。

放射線治療ではガンマナイフが保険適応でしたが、サイバーナイフによる治療も同等の治療として保険適応になりました。

サイバーナイフによる三叉神経痛治療が適応になったのは2022年ですが、同等の治療と言えるガンマナイフによる三叉神経痛治療は2015年から保険適応があり、実績のある治療法です。

放射線治療では三叉神経の根元に放射線を当てる治療になります。治療の正確なメカニズムは明らかになっていない点も多いですが、神経の働きを放射線で弱らせるような治療と考えられます。

サイバーナイフによるメリットは次のようなものがあります。

• 麻酔をかけたり、体にメスを入れる必要がありません。
• 治療そのものも1日1回の治療で終わり入院する必要もありません。

注意点、デメリットは次の通りです。

• 治療効果は6-8割と言われています。
• 治療効果が現れるのは数週間から数ヶ月要することもあり個人差があります。
• 痛みの原因を直接取り除くわけではなく、症状を抑える治療となります。
• 長期では一部の方で再発することもあります。
  治療の効果が薄い場合、再発してしまった場合には当てる部位を調整し、追加で行うことができます。
• 治療の副作用として顎のしびれ感、感覚の低下などが起こりえます。

サイバーナイフやガンマナイフによる治療では放射線を当てる範囲が極めて小さいため、一般的な放射線治療でよく認められる皮膚炎（日焼け）や脱毛などといった症状が起こることはまずありません。

サイバーナイフと手術を比べて、メリット、デメリットをよく検討して治療を受けていただくことをお勧めします。

受診

受診していただき治療の内容を改めて説明します。その後、治療の準備を行います。

治療の準備

治療の準備としては、MRI検査、CT検査、治療用の固定具（プラスチックのお面）作成を行います。MRI検査では痛みの原因となる異常が他にないか調べることと、三叉神経の正確な位置を把握することを目的に行います。

治療用の固定具はプラスチックを変形させてつくります。プラスチックは加熱して柔らかくなったものを顔面に押し当てることで患者様個人に合わせたものを作ります。

治療

実際の治療は後日、1回1時間程度の予定です。治療中は固定具を装着し行います。治療中、じっと動かずに受けていただくことが最も重要になります。

治療そのものには痛みなどはありません。麻酔なども必要ありませんので治療終了後そのまま帰宅することができます。

治療日程、時間はご希望を伺います。